堅牢豪華なタンスも有名な岩手県奥州市の『角塚古墳(つのづかこふん)』
岩手県奥州市胆沢区南都田にある「角塚古墳」は、5世紀末から6世紀初頭の前方後円墳で、1985年に国の史跡に指定されています。
現在残っている部分は全長44~45メートル、2段築成の後円部は径約30メートルで、高さ約4.5メートル。一見して小さな丘という雰囲気です。
上空から見た写真では、馬蹄形と呼ばれる鍵穴のような古墳の形がはっきりと確認できます。
後世に植えられた大きな一本杉が目印になっており、通称「塚の山」「一本杉」とも呼ばれ、前方後円墳としては岩手県では唯一、かつ日本の最北端に位置する古墳です。
出土品の大半は埴輪の破片で、前方部からは人物や動物、器材などの形象埴輪が出土されています。
話は逸れますが、この奥州市には「岩谷堂箪笥(いわやどうたんす)」という伝統工芸品があります。奥州市江刺区で作られるタンスで、鮮やかな漆塗りの木目が美しく、様々な模様絵柄のある飾り金具が施されているのが特徴的なタンスです。
飾り金具は装飾の意味もさることながら、上部を段々にして階段としても使われたくらい堅牢なつくりのタンスです。
古墳時代にタンスは無かったでしょうが、出土した「器材」は古代の人が使っていた道具ですから興味深いことです。
タンス作りの技術をはじめ、奥州地方の人々のものづくりの技は、やはりどこかに残って今に伝わっているかもしれません。