東京都府中市 武蔵国府関連 発掘調査
府中市清水が丘の竪穴建物から、8世紀末に使用されていた珍しい形状のかまどが発見されました。
九州や近畿地方で同類のかまどが発見された例はありますが、東日本ではほとんど例がなく貴重な発見といわれています。
そのかまどは、なんとL字型をしています。
一般的なかまどは、炊き口と煙道が直線になっていますが、これは煙道が直角に曲がっています。
朝鮮半島で類似したL字型のかまどが発掘されているため、当時渡来系の人々との関わりがあったことが推測されています。
朝鮮半島で用いられたL字型かまどは、床下暖房のオンドルとの関連があるといわれています。
オンドルとは、炊き口から長めに煙道を設け、温かい煙を床下へ送る構造です。
そんな昔から床暖房があったとは驚きです。
いまの時代にも取り入れたい、エコで進化した台所ですね。
L字型かまどが発見された国府の東側は、もともと庶民が住む集落でした。
このL字型かまどの発見によって、国府の近くに渡来系の生活様式が持ち込まれていたことが確認されました。
つまり、庶民とは違う身分の高い人々も住んでいた、ということになります。
よって、古代武蔵国を統治するために重要な拠点であったことが憶測されています。
まだ謎は解けないそうですが、たったひとつのかまどから、壮大なロマンが広がっていきますね。